私が激安の無資格業者に頼んで絶望した話
藁にもすがる思いでした。一人暮らしの父が亡くなり、遺された家はゴミ屋敷そのもの。途方に暮れていた時、インターネットで見つけた「業界最安値」を謳う業者の広告が目に留まりました。とにかく早く、安く済ませたい一心で、資格の有無など確認もせずに電話をかけ、すぐに見積もりに来てもらいました。提示された金額は、他社の半額以下。私は迷わずその場で契約してしまいました。これが悪夢の始まりでした。作業当日、現れたのは電話の担当者とは違う、威圧的な態度の男性たち。作業を始めるなり、「聞いていたよりゴミが多い」「これは特殊な処分費がかかる」と次々に追加料金を要求してきました。断れる雰囲気ではなく、最終的に支払った金額は、最初の見積もりの三倍以上に膨れ上がっていました。さらに追い打ちをかけたのが、数週間後に市役所から受けた一本の電話です。近隣の山中に、父の家のものと思われるゴミが不法投棄されているとの連絡でした。領収書はもらえず、業者の名前も曖昧にしか覚えていなかった私は、自分が依頼した業者によるものだと証明することもできません。結局、私は自らそのゴミを片付け、多額の処分費用を再度支払う羽目になりました。あの時、なぜ業者の許可証を確認しなかったのか。料金の安さに目がくらみ、最も大切なことを見落としていた自分を、今でも責め続けています。この経験から私が学んだのは、資格や許可の確認は、自分自身の財産と心を守るための最低限の防衛策だということです。私の失敗が、誰かの二の舞を防ぐ一助となることを願ってやみません。